• 2019.4.18
  • イベント

平成31年度入学式 学長式辞(ダイジェスト)

平成31年度広島文教大学並びに広島文教大学大学院の入学式は、新入学生及び来賓、保護者、教職員、在学生でいっぱいになった本学体育館にて、盛大に行われました。

 

◇共学化の教育的意義①

学園が創設された戦後間もない頃、女子を巡る教育環境は厳しいものでした。かつての文部省の学校基本調査によれば、昭和29年の女子の大学進学率はわずか2.4%であったと記録されています。同じ年の男子の大学進学率が13.1%であったと言えば、女子の進学がいかに困難なものであったか、想像できるでしょう。これに比して、平成29年度の大学進学率を見ると、男子55.9%に対して女子は49.1%と、進学率全体が十分に伸び、男女間の差も相対的に縮まりました。これに加えて、男女共同参画社会の実現も、その動向が加速度的に活発化してきました。女子を巡る教育環境の社会的改善が長足の進歩を遂げたことは明らかです。

一方、本学がこれまで積み上げてきた堅実な教育実践と高い教育実績とは、すべて女子だけを対象としたものでした。少子高齢化が進む人口減少社会においては、男性も女性も共に手を携えて、社会のさまざまな課題に立ち向かうことが必要です。女性への教育において本学がこれまで果たしてきた役割を男性に対しても開き、一層多くの有為な人材を社会に送り出すことは、日本国が社会全体として取り組みつつある課題への、本学としての回答の一つであると言って、決して過言ではありません。

◇共学化の教育的意義②

女子大学が男女共学となるのは、単に、多くの女子学生の中に男子学生も加える、ということではありません。多くの女子学生には、今後当分の間、少数派であり続けるだろう男子学生を、学びのパートナーとして温かく、しなやかに迎え入れることが求められます。また男子学生も、この学び舎で席を同じくする女子学生への敬意を忘れず、先輩たちの真摯な取り組みの姿勢を虚心で学ぶ謙虚さが必要です。

男女が互いを尊重し合い共に学び合うことで、この学び舎の教育環境を、活気ある豊かなものとしていくのは、本学に入学したあなたがた自身に課せられた課題であり、21世紀を生きる私たちが目指すべき、男女共同参画社会のごく基本的な姿でもあろうと考えています。

こうした意味において、今回の男女共学化は、この大学に、新たな学びと教育環境創出の機会をもたらしたと、私は考えています。

 

◇育心育人の教育理念

学園の発展を支えてきた創設者の教えとして、学園訓3か条と「心を育て 人を育てる」という育心育人の教育理念です。創設者が遺した言葉の中に、次のような一節があります。

社会の正常なる発展は、帰するところ人であります。本学園の教育指針は、

この人づくりであります。

 創設者 武田ミキは、教育の力で学修者一人一人の力を十分に伸ばし、有為な人材として社会に送り出し、もって社会の正常な発展に資することを願っていました。それを最も端的に表したのが、この育心育人という理念です。

この大学で学ぶみなさんには、自らの豊かな人生を実現するための学びだけでなく、2年乃至4年の教育を通して、社会との関わりの中で自らの果たすべき役割を確かに見据えた学びを修めてほしいと思います。