• 2021.4.6
  • イベント

令和3年度 入学式を挙行しました

 令和 3年 4月 2日(金)、本学体育館において令和3年度広島文教大学並びに広島文教大学大学院の入学式を挙行しました。

 

令和3年度入学式 学長式辞

理念ある真の「学び」のために

 

 本日ここに、令和3年度広島文教大学並びに広島文教大学大学院の入学式を挙行するにあたり、多くの新入生のみなさんを迎えることができましたことは、この上ない喜びです。

 新入生のみなさんに心からの祝意を表するとともに、この日を心待ちにしておられながら、残念ながらご列席いただけなかった保護者、ご家族のみなさまにも改めてお祝いを申し上げます。

 

◇本学の歩みと教育の特色

 お迎えした新入生のみなさんに、まず大学の成り立ちをお話しします。

 本学園は、今から73年前の昭和23年、「真実に徹した堅実なる女性の育成」を建学の精神として、創設者 武田ミキが広島県可部女子専門学校を設立したのが始まりです。その後、昭和41年に広島文教女子大学を開学、以来50年以上にわたり、地域に根差した女子教育の場として着実に歩みを進めてきました。そして一昨年4月、男女共学化と教育学部設置に伴う2学部体制への移行により、大学名称も「広島文教大学」と改めました。本日お迎えした皆さんは、大学が新たなスタートを切って3度目の入学生です。

 学園の発展を支えてきたのは、創設者が唱えた学園訓3か条です。学修者が目指すべき人間像を示した学園訓3か条は、「真理を究め 正義に生き 勤労を愛する人」、次に「責任感の強い 逞しい実践力のある人」、そして最後に「謙虚で優雅な人」となるよう、教えています。入学生のみなさんには、この3か条を心に留め、日々の生活に臨んでほしいと願っています。

 

◇育心育人の教育理念

 そして、この大学には、もう一つ、決して忘れてはならない教えが、日々の教育活動の中に息づいています。それは、「心を育て 人を育てる」という育心育人の教育理念です。創設者が遺した言葉の中に、次のような一節があります。

 

社会の正常なる発展は、帰するところ人であります。本学園の教育指針は、 この人づくりであります。

 

 創設者 武田ミキは、教育の力で学修者一人一人の力を十分に伸ばし、有為な人材として社会に送り出し、それによって社会の正常な発展に寄与することを願っていました。その願いを端的に表したのが、この育心育人という理念です。この大学で学ぶみなさんには、自らの豊かな人生を実現するための学びだけでなく、2年乃至4年の教育を通して、社会との関わりの中で自らの果たすべき役割を確かに見据えた学びを修めてほしいと思います。

 

◇創設の心は、困難に立ち向かうエネルギー

 本学の一日は、朝9時に学内に流れる学園の歌、学園歌で始まります。創設者が作詞した学園歌の歌詞はお手元の式次第にありますから、ご覧ください。その2番の歌詞に「行学一如」という言葉があります。「行学」とは鎌倉時代の『平家物語』にも用例がある古い言葉で、もとは、仏道修行において教えを実践的に修得することを意味した言葉です。創設者はこの「行学」のあとに「一如」と続けることで意味をさらに広げ、一つひとつの行いそのものが学びとなっているという、学修者の理想の姿を表わす言葉にまで高めています。

 昨年度は、感染症拡大のために、本学の教育活動も大きな打撃を受けました。日常の活動が大きく制限される状況にあって、それでも本学の学生たちは、皆がそれぞれの置かれた環境の中で精一杯に学びに向き合い、「行学一如」を見事に実践してくれました。学園歌に謳う精神は、誰が命ずるともなく、自然に先輩たちに受け継がれているのです。

 今日から始まるみなさんの学生生活は、男女共学の仕組みがこの学び舎に定着してゆくという大きな変革を目の当たりにする2年乃至4年ということになるでしょう。しかし、いかなる変革に晒されても、またコロナ禍と言われるパンデミックの中にあっても、先輩たちが受け継いできた学びの精神は、いささかも揺らぐことはありません。本学に息づく学生一人ひとりの学びの精神、理念ある真の「学び」こそが、夢の実現を手繰り寄せるための、またさまざまな社会的課題に立ち向かうためのエネルギーとなるはずです。

 

◇この入学式に、思いを込めて

 昨年の春以来、感染症拡大の影響により、各地で多くの行事が延期や変更を迫られ、私たちも昨年度の本式典中止を余儀なくされました。しかし今年度は、新入学生のみなさんへの心からの祝意とともに、大学生活最初の1ページが空白のままとなっている新2年生、すなわち昨年度の入学生のみなさんへの万感の思いを込めて、十分な感染防止策を施したうえでの本式典挙行を決定しました。

 この節目にあたり、新入学生のみなさんに向けては、これから始まる大学生活が人生の礎としての大切な日々になることをお祈りし、新たに2年生となるみなさんには、心からの祝意に併せ、昨年度の経験が必ずや来るべき大きな飛躍の原動力となりうることをお伝えして、令和3年度入学式にあたっての歓迎の言葉といたします。

 

 改めて、みなさん、ようこそ広島文教大学へ。

 

 

令和 3年 4月 2日

広島文教大学長 森下要治