新入生のみなさんへ ~学長メッセージ~

  • 2020.04.02
  • 新入生

新入生のみなさんへ ~学長メッセージ~

新入生のみなさんへ~学長メッセージ~

 

 令和2年度新入学生のみなさん、ご入学おめでとうございます。また、保護者、ご家族並びに関係者のみなさまにも、心よりのお慶びを申し上げます。
 ようこそ、広島文教大学へ。
 今年の春は、新型コロナウィルス感染症の地球規模の広がりとその深刻な影響が連日のように様々なメディアを通じて伝えられ、世界全体が重苦しい空気に包まれています。そして日本でも、またここ広島でも、感染症のニュースが日々報じられ、私たちの日常生活そのものを脅かす事態が現実のものとなってきました。
 この感染症拡大を受け、本学におきましても慎重に協議を重ねてまいりましたが、日々切迫する現在の状況について、令和2年度入学式の中止せざるを得ない事態であると判断しました。また、その後のオリエンテーション行事や授業開始につきましても延期を決め、現在、日程の再調整を急いでいるところです。
 この日を待ち望んでおられた皆様のお気持ちや、入学式及びその後の一連の行事が持つ教育的意義を思えば、今回の中止・延期の決定には、改めて断腸の念を禁じえません。しかしながら、関係のみなさまの健康と安全、そして正常な教育活動の維持を最優先とし、今回の決定に至った次第です。
 本学の方針をご理解くださいますよう、お願い申し上げます。

 

 現代は、「グローバル化」の時代と言われます。そして、世界を席巻し、いままさに私たちの身近にも迫りつつあるこの感染症拡大という事態は、「グローバル化」の負の側面が実体化したものと言うべきでしょう。この災厄が不可避のものである以上、またこの災厄に脅かされながらもこの時代を生き抜かねばならない以上、私たちは知恵を絞って、この事態に向き合わねばなりません。
 いまこそ、生き抜く知恵、すなわち真の「学び」が必要な時です。

 

 昭和23年(1948年)に「真実に徹した堅実なる女性の育成」を建学の精神として産声を上げた私たちの学園は、「育心育人(心を育て 人を育てる)」という教育理念によって、社会に役立つ人材の育成に努めてきました。創設者が遺した言葉の中に、次のような一節があります。
  社会の正常なる発展は、帰するところ人であります。本学園の教育指針は、この人づくりであります。
 創設者は、教育の力で学修者一人一人の力を十分に伸ばし、有為な人材として社会に送り出し、もって社会の正常な発展に資することを願っていました。それを端的に表したのが、この育心育人という理念です。
 今日から始まるみなさんの学生生活は、地球全体の、全人類に関わる大きな変革を目の当たりにする時間となるでしょう。その変革は、歓びに満ちたものばかりではないかもしれません。しかし、いかなる変革に晒されても、本学に息づく学びの精神、理念ある真の「学び」は、必ずやみなさん一人一人の夢の実現を手繰り寄せるエネルギーとなるはずです。
 われわれ教職員はこの育心育人の伝統を引き継ぎ、新入生のみなさんの夢の実現を精一杯支援しながら、一緒に歩んでまいります。
 桜の盛りの時期が過ぎ、花の跡から若葉が顔をのぞかせ始めるころ、大学キャンパスでお会いできると信じて、広島・可部の地でみなさんをお待ちしています。
 その時には改めて、心を込めてこのようにお伝えします。
 「みなさん、ようこそ広島文教大学へ。」

 

令和2年4月2日
広島文教大学長 森下 要治