令和6年度入学式を挙行しました

  • 2024.04.11
  • *お知らせ

令和6年度入学式を挙行しました

 令和 6年 4月 2日(火)、本学体育館において令和6年度広島文教大学並びに広島文教大学大学院の入学式を挙行しました。

 

 

 

 

令和6年度入学式 学長式辞

理念ある真の「学び」のために

 

 

 本日ここに、広島文教大学並びに広島文教大学大学院の入学式を挙行するにあたり、新入学生のみなさんに心からの祝意を表します。また、諸事ご多忙の折にご臨席賜りました、内閣総理大臣岸田文雄先生秘書 田邊博之様、本学園の武田義輝理事長を初め、ご来賓の皆様方に感謝の意を表しますとともに、今日の日を待ちわびておられた保護者、ご家族の皆さまにも、心よりお慶びを申し上げます。令和6年度もこうして新入学生のみなさんを迎えることができましたことは、私たちがこの上ない喜びとするところです。

 

 

◇本学の歩みと教育の特色

 本日お迎えした新入学生のみなさんに、まず大学の成り立ちをお話しします。

 本学園は、今から76年前の昭和23年、「真実に徹した堅実なる女性の育成」を建学の精神として、創設者 武田ミキが広島県可部女子専門学校を設立したのが始まりです。その後、昭和41年に広島文教女子大学を開学以来、地域に根差した女子教育の場として着実に歩みを進めてきました。そして5年前の4月、男女共学化と教育学部設置に伴う2学部体制への移行により、大学名称も「広島文教大学」と改めました。本日お迎えした皆さんは、大学が新たなスタートを切って6度目の入学生です。

 

◇学園訓3箇条と育心育人の教育理念

 学園の発展を支えてきたのは、創設者が唱えた学園訓3箇条です。学修者が目指すべき人間像を示した学園訓3箇条は、「真理を究め 正義に生き 勤労を愛する人」、次に「責任感の強い 逞しい 実践力のある人」、そして最後に「謙虚で優雅な人」となるよう、教えています。新入学生のみなさんにはこの3箇条を心に留め、日々の生活に臨んでほしいと願っています。

 そして、この大学には、もう一つ、決して忘れてはならない教えが、日々の教育活動の中に息づいています。それは、「心を育て 人を育てる」という「育心育人」の教育理念です。創設者が遺した言葉の中に、次のような一節があります。

 

社会の正常なる発展は、帰するところ人であります。本学園の教育指針は、この人づくりであります。

 

 創設者 武田ミキは、教育の力で学修者一人一人の力を十分に伸ばし、有為な人材として社会に送り出し、それによって社会の正常な発展に寄与することを願っていました。その願いを端的に表したのが、この育心育人という理念です。この大学で学ぶみなさんには、自らの豊かな人生を実現するための学びだけでなく、2年乃至4年の教育を通して、社会との関わりの中で自らの果たすべき役割を確かに見据えた学びを修めるよう、願っています。

 

 

◇自ら打ち込む何かを、そしていつもカバンに一冊を

 そのような学びを実現するために、本学では、各学科・専攻の専門教育科目に加えて、教養教育科目や資格取得のための科目等、多彩な授業科目を準備しています。しかし、大学での学びは、あらかじめ準備されたプログラムだけで充足できるものではありません。お一人お一人の学修をいっそう充実したものとするために、二つの取組を提案します。

 まず、大学で準備している教育課程以外に、自ら打ち込める何事かを見つけてほしいと思います。学生の自治組織である学友会活動やサークル活動では、自主性や協働性を培うことができるでしょうし、学内外のボランティア活動では、人や社会との繋がりの大切さを実感できると思います。また、本学の姉妹校としてフィリピン共和国に開学したラプラプセブ国際大学への留学プログラムは、単に語学力を磨くだけでなく、この世界に対するみなさんお一人お一人の感覚を、いっそう鋭敏に研ぎ澄ます役割を果たしてくれるはずです。

 自ら進んで打ち込む何かを―ぜひ心に留めておいてほしいと思います。

 そして、もう一つの提案として、カバンの中に一冊の本を携行し、折に触れてそれを手に取る習慣を身に付けるようお勧めします。学生時代、高等学校の国語科教師を養成する学科に学んだ私は、大学入学後のまもなく古書店で買い求めた『平家物語』をいつも持ち歩いていました。古文の原文にごくわずかな注釈が添えられただけの小さな文庫本です。空いた時間に開いて数ページずつ読むことの繰り返しでしたが、今にして思えば、日々の授業に加えて、隙間を使って『平家物語』を何度も読み返すことになったあの頃の細切れの時間の積み重ねが、日本文学を専門として学ぶその後の自分の基礎力を形成するのに、一定の役割を果たしたと考えています。本学には、ほぼすべてが開架式の附属図書館があります。ぜひ積極的に活用して、あなたの学びに相応しい一冊を見つけてください。

 いつもカバンに一冊を―これも、心に留めておいてほしいと思います。

 

 

◇創設の心は、困難に立ち向かうエネルギー

 本学の一日は、朝9時に学内に流れる学園の歌、学園歌で始まります。創設者が作詞した学園歌の歌詞はお手元の式次第にありますから、ご覧ください。その2番の歌詞に「行学一如」という言葉があります。「行学」とは『平家物語』にも用例がある古い言葉で、もとは、仏道修行において教えを実践的に修得することを意味した言葉です。創設者はこの「行学」のあとに「一如」と続けることで意味をさらに広げ、一つひとつの行いそのものが学びとなっているという、学修者の理想の姿を表わす言葉にまで高めています。

 令和2年初頭から感染を広げた新型コロナウイルスにより、本学の教育活動にも少なからぬ影響が及びました。日常の活動が大きく制限される状況にあって、それでも本学の学生たちは、皆がそれぞれの置かれた環境の中で精一杯に学びに向き合い、「行学一如」を見事に実践し続けています。学園歌に謳う精神は、誰が命ずるともなく、自然に学生たちに受け継がれているのです。

 今日から始まるみなさんの学生生活は、男女共学の風土が着実に根付きつつあるこの大学のさらなる歩みを目の当たりにする2年乃至4年ということになるでしょう。その過程において、たとえいかなる変革に晒されようとも、先輩たちが受け継いできた学びの精神は、いささかも揺らぐことはありません。本学に息づく学生一人ひとりの学びの精神、理念ある真の「学び」こそが、夢の実現を手繰り寄せるための、またさまざまな社会的課題に立ち向かうためのエネルギーとなるはずです。

 

 

◇この入学式に、思いを込めて

 いわゆるコロナ禍によって、各地で多くの行事が延期や変更を迫られたことは記憶に新しいところです。しかし、あの混乱を経たことで社会がコロナ以前の活気を取り戻した今、私たちは、新入学生のみなさんへの心からの祝意と、みなさんが夢の実現へ踏み出す明るい未来への誓いを込めて本式典を挙行しました。

 この節目にあたり、これから始まる大学生活が人生の礎としての大切な日々になることをお祈りして、令和6年度入学式にあたっての歓迎の言葉といたします。

 改めて、みなさん、ようこそ広島文教大学へ。

令和6年4月2日

広島文教大学長 森下 要治