- 2026.04.06
- *お知らせ
令和8年度 入学式を挙行しました
令和 8年4月2日(木),本学体育館において令和8年度広島文教大学並びに広島文教大学大学院の入学式を挙行しました。


令和8年度入学式 学長式辞
理念ある真の「学び」のために
本日ここに、広島文教大学並びに広島文教大学大学院の入学式を挙行するにあたり、入学生の皆さんに心からの祝意を表します。また、諸事ご多忙の折にご臨席賜りました、元 内閣総理大臣 自由民主党衆議院議員 岸田文雄先生秘書 田邊博之様、本学園の武田義輝理事長をはじめ、ご来賓の皆様方に感謝の意を表しますとともに、今日の日を待ちわびておられたご家族の皆さまにも、心よりお慶びを申し上げます。令和8年度もこうして多くの入学生の皆さんを迎えることができましたことは、私たちがこの上ない慶びとするところです。
◇本学の歩みと教育の特色
本日お迎えした新入学生の皆さんに、まず大学の成り立ちをお話しします。
本学園は、今から78年前の昭和23年、「真実に徹した堅実なる女性の育成」を建学の精神として、創設者 武田ミキが広島県可部女子専門学校を設立したのが始まりです。その後、昭和41年(1966年)に4年制の広島文教女子大学を開学、以来、地域に根差した女子教育の場として着実に歩みを進めてきました。そして7年前の4月、男女共学化と教育学部設置に伴う2学部体制への移行により、大学名称も「広島文教大学」と改めました。皆さんは、大学が新たなスタートを切って8度目の入学生です。また、大学が短期大学から4年制に移行してちょうど60年の節目の年の入学生でもあります
◇学園訓3箇条と育心育人の教育理念
学園の発展を支えてきたのは、創設者が唱えた学園訓3箇条です。学修者が目指すべき人間像を示した学園訓3箇条は、まず「真理を究め 正義に生き 勤労を愛する人」、次に「責任感の強い 逞しい 実践力のある人」、そして最後に「謙虚で優雅な人」となるよう、教えています。新入学生の皆さんにはこの3箇条を心に留め、日々の生活に臨んでほしいと願っています。
そして、この大学には、もう一つ、決して忘れてはならない訓えが、日々の教育活動の中に息づいています。それは、「心を育て 人を育てる」という「育心育人」の教育理念です。
創設者が遺した言葉の中に、次のような一節があります。
社会の正常なる発展は、帰するところ人であります。本学園の教育指針は、この人づくりであります。
創設者 武田ミキは、教育の力で学修者一人一人の力を十分に伸ばし、有為な人材として社会に送り出し、それによって社会の正常な発展に寄与することを願っていました。その願いを端的に表したのが、この育心育人という理念です。この大学で学ぶ皆さんには、自らの豊かな人生を実現するための学びだけでなく、2年乃至4年の教育を通して、社会との関わりの中で自らの果たすべき役割を確かに見据えた学びを修めるよう、願っています。
◇充実した学びのために
そのような学びを実現するために、本学では、各学科・専攻の専門教育科目に加えて、教養教育科目や資格取得のための科目等、多彩な授業科目を準備しています。しかし、大学での学びは、あらかじめ準備されたプログラムだけで充足できるものではありません。お一人お一人の学修をいっそう充実したものとするために、三つの取組を提案します。
まず、大学で準備している教育課程以外に、自ら打ち込める何事かを見つけてほしいと思います。学生の自治組織である学友会活動やサークル活動では、自主性や協働性を培うことができるでしょうし、学内外のボランティア活動では、人や社会との繋がりの大切さを実感できると思います。また、本学の海外姉妹校であるフィリピンのラプラプセブ国際大学への留学プログラムは、単に語学力を磨くだけでなく、この世界に対する皆さんお一人お一人の感覚を、いっそう鋭敏に研ぎ澄ます役割を果たしてくれるはずです。
自ら進んで打ち込む何かを―ぜひ心に留めておいてください。
次に、カバンの中に一冊の本を携行し、折に触れてそれを手に取る習慣を身に付けることをお勧めします。学生時代、高等学校の国語科教師を養成する学科に学んだ私は、大学入学後のまもなく古書店で買い求めた『平家物語』をいつも持ち歩いていました。古文の原文にごくわずかな注釈が添えられただけの小さな文庫本です。空いた時間に開いて数ページずつ読むことの繰り返しでしたが、今にして思えば、結果として『平家物語』を何度も読み返すことになったあの細切れの時間の積み重ねが、日本文学を専門として学ぶその後の自分の基礎力の形成に、一定の役割を果たしたと考えています。本学には、ほぼすべてが開架式の附属図書館があります。ぜひ積極的に活用して、あなたの学びに相応しい一冊を見つけてください。
いつもカバンに一冊を―これも、心に留めておいてほしいと思います。
そして、もう一つ。
病のために幼くして視力と聴力とを失いながら、福祉や平和、人権擁護について国際社会に大きな影響を与えた、アメリカの作家にして社会活動家であるヘレン・ケラーに、短いエッセイ『もしも3日間だけ目が見えたなら』があります。目の見えない自分に、もし3日間だけ視力が与えられたなら、1日目には、自分に希望を与え、守り支えてくれた大切な人を見てみたい、2日目には、博物館や美術館で自然の美しさと人類の歩みを見てみたい、そして3日目には、大都会で人々の働く姿を見てみたいと、ヘレン・ケラーは記します。
そしてエッセイの末尾に、次のメッセージを残しています。
明日には目が見えなくなるかもしれないと思って、世界を見てください。(中略)あなたが持っている、当たり前の機能を最大限に使い、ありとあらゆるものに目を向けて、ともすれば見失いがちな、本当に価値あるもの、本当に大切なものを見極めてください。(ヘレン・ケラー『もしも3日間だけ目が見えたなら』)
大学入学という、人生の大切な時間の入り口に立った皆さんには、ぜひこの言葉をかみしめてほしいと思います。
◇創設の心は,困難に立ち向かうエネルギー
本学の一日は、朝9時に学内に流れる学園の歌、学園歌で始まります。創設者が作詞した学園歌の歌詞はお手元の式次第にありますから、ご覧ください。その2番の歌詞に「行学一如」という言葉があります。「行学」とは『平家物語』にも用例がある古い言葉で、もとは、仏道修行において教えを実践的に修得することを意味した言葉です。創設者はこの「行学」のあとに「一如」と続けることで意味をさらに広げ、一つひとつの行いそのものが学びとなっているという、学修者の理想の姿を表わす言葉にまで高めています。
令和2年初頭から日本国内で感染を広げた新型コロナウイルスが本学の教育活動に大きな影響を及ぼした時期がありました。授業のオンライン実施や行事の縮小・中止等、日常の活動が大きく制限される状況にあって、それでも本学の学生たちは、皆がそれぞれの置かれた環境の中で精一杯に学びに向き合い、「行学一如」を見事に実践し続けました。学園歌に謳う精神は、誰が命ずるともなく、自然に学生たちに受け継がれているのです。
今日から始まる皆さんの学生生活は、男女共学の風土が着実に根付いたこの大学のさらなる歩みを目の当たりにする2年乃至4年ということになるでしょう。その過程において、たとえいかなる変革に晒されようとも、先輩たちが受け継いできた学びの精神は、いささかも揺らぐことはありません。本学に息づく学生一人ひとりの学びの精神、理念ある真の「学び」こそが、夢の実現を手繰り寄せるための、またさまざまな社会的課題に立ち向かうためのエネルギーとなるはずです。
◇この入学式に,思いを込めて
いわゆるコロナ禍による混乱を経たあとも、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や中東・ガザ地区での戦闘、イスラエルとアメリカによるイランへの軍事行動等、世界では憂慮すべき事態が続いていますが、私たちは、入学生の皆さんへの心からの祝意と、皆さんが夢の実現へ一歩を踏み出す明るい未来への誓い、そして世界のさまざまな問題を真に解決しうるのは教育の力であるという強い信念のもとに、この式典を挙行しました。
この節目にあたり、これから始まる大学生活が人生の礎としての大切な日々になることをお祈りして、令和8年度入学式にあたっての歓迎の言葉といたします。
改めて、皆さん、ようこそ広島文教大学へ。
令和8年4月2日
広島文教大学長 森下 要治








