広島文教大学附属高等学校 オフィシャルブログ

おうち時間の過ごし方⑭和食のサイエンス(ムッシュ吉村)

 日本人が世界に誇る和食。ユネスコの世界無形文化遺産に登録されました。ムッシュ吉村は和食が大好き過ぎて、昨年末、3年がかりでクッキングライセンスを取得しました。和食の魅力はもちろん、ほっとする味ですが、健康的な食事であることもです。和食が美味しい上に、健康食でもあるのには、サイエンス(科学)の力が大きく関係しています。おうち時間に家事の手伝いで、料理にチャレンジしている文教生もいると聞いています。この際、ムッシュは和食の美味しさを生み出している「魔法の言葉」を紹介しながら、サイエンスとの関係を解き明かそうと思います。

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 和食の基本に「さ・し・す・せ・そ」という「魔法の言葉」があります。煮物などを作るときの調味料を入れる順番の略称です。「さ」は砂糖、「し」は塩、「す」は酢、「せ」はしょうゆ(旧仮名遣いで「せうゆ」)、「そ」は味噌。砂糖がいちばん材料にしみ込みにくく、塩やしょうゆを加えてからでは甘みがつきにくい。また酢・しょうゆ・味噌を後にするのはせっかくの香りを飛ばさないためなど、この順番にはさまざまな根拠があります。これらは浸透圧など、すべてサイエンスで説明できます。つまり料理はサイエンスだとムッシュは思います。美味しい、まずいはすべて原因・結果があって、まさにサイエンスなんです。そんなところにムッシュはひかれます。

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 砂糖を他の調味料よりも先に入れるのには理由があります。甘味は、なかなか食材に浸透しにくいため、他の調味料よりも先に入れて味をつけるようにする、というのが理由のようです。また、塩や醤油のような塩分のある調味料を先に入れてしまうと、その後に入れる甘味は食材には染み込みにくくなってしまうようです。

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 次に、2番目に塩を入れる理由について。塩は浸透圧が高く食材から水分を引き出す力があるため、味付けの始めの方で入れる方が好ましいとされています。塩の後に入れるようになっている酢は、他の味が食材に染みるのを防いでしまう働きがあります。また、酢は早い段階で入れて加熱しすぎてしまうと、せっかくの酸味が飛んでしまうため、なるべく味付けは後半に行う方がよいのです。  そして、味に加えて風味付けの目的もある醤油や味噌は、長時間火にかけると風味が損なわれてしまうため、料理の仕上げの際に入れるのがよいとされています。このように「さしすせそ」は、それぞれの調味料の特徴を生かした順番になっているのですね。

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 和食の魅力の一つにバランスの良さがあります。さらに、一つの基本技さえ覚えておくと、とても簡単にバランスの良い健康的な食事が出来ちゃいます。その「魔法の言葉」が「一汁三菜」です。和食の基本といわれる「一汁三菜」。日本人の主食である「ご飯」に、「汁物」と3つの「菜(おかず)」を組み合わせた献立です。体に必要な「エネルギーになるもの」「体をつくるもの」「体の調子を整えるもの」という3つの栄養素を、バランスよく摂ることができます。


主食

エネルギー源である炭水化物を補給します。
和食の場合はお米が基本です。

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汁物

水分を補給します。
和食の場合は味噌汁が基本です。

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三菜

主菜1品、副菜2品で構成します。
主食を美味しくいただくためのおかず。毎日継続して健康的な一汁三菜を用意するために、大事なのが三菜の選び方です。もちろん、栄養さえしっかり摂れれば、おかずの数は一菜でも二菜でも問題ありませんが、一番バランスよく、そして過不足なく栄養を摂取しやすい基本のかたちが三菜なのです。

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とはいえ、忙しい暮らしの中で、三菜もつくるのは大変と感じるかもしれません。味噌汁を具だくさんにすれば、1つの副菜と捉えることも可能です。

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 また、料理の「魔法の言葉」に、「魚身鳥皮」(うおみとりかわ )があります。お魚を焼くときは身から、鶏肉を焼くときは皮から、焼くと上手く焼けますよ、ということです。 鶏肉は皮が縮まずぱりっと、お魚も皮にきれいに焦げ目ができます。料理の美味しさは見た目も大事です。これもサイエンス。目をつぶって食べると、美味しさは半減してしまうでしょう。食事は五感で楽しんでいます。だから、盛り付けや彩り、器なども美味しさに関係しているんですよ。

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 ムッシュは和食で一番好きなのがご飯です。炊き立てのご飯は、絶対に最後の晩餐にしたいです。ご飯をおにぎりにしてもらうと最高です。そのご飯を炊くのにも、「魔法の言葉」があります。みなさん、ご飯は炊飯器で炊かれる方が多いと思います。が、釜や土鍋で炊くご飯は最高ですよ。この際、威力を発揮するのが魔法の言葉です。「初めちょろちょろ、中ぱっぱ、赤子泣いてもふた取るな」という言葉です。

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 釜や土鍋で炊飯するには、60分程度が必要とされています。「初めちょろちょろ」とは、米に水を吸収させるための時間です。予備炊きとも呼ばれ、20分程度必要です。約50℃の水温を維持すると、20分で吸水が飽和状態になるからです。より甘みを引き出すために、弱火で米の中心まで吸水させましょう。

 「中ぱっぱ」とは、しっかりと吸水したら、一気に強火にして沸騰させます。沸騰して100℃以上になることがおいしいご飯を炊き上げる秘訣です。沸騰したら徐々に火力を落として粘りと甘みを加えていき、20分程度で次の段階に移行しましょう。

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 「赤子泣いてもふた取るな」とは、ここから蒸らしに入ります。蒸らしの段階は釜の温度を下げないことが重要なので、「赤子泣いてもふた取るな」、つまり何があっても蓋を取ってはいけないということに繋がります。別の歌には「赤子泣いてもふた取るな」の前に「ひと握りのワラ燃やし」という言葉がありますが、これは焦がさない程度の追い炊きをするというこ。追い炊きをすることで、ツヤとハリのあるご飯に仕上げることができます。

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 ムッシュが今、和食でハマっているのは、手打ちの蕎麦です。北海道産の蕎麦粉で打つ蕎麦は素晴らしいですね。太さはまちまちで、見た目はまだまだですが、特製の手作りつゆに、エキストラバージンオリーブオイルをちょい掛けして食べる蕎麦は最高です。

 蕎麦打ちにも「一、鉢 ニ、のし 三、包丁」という「魔法の言葉」があります。これは蕎麦打ちの作業の要諦をゴロよく表した言葉です。同じ意味で「包丁三日、のし三ヶ月、木鉢三年」とも言われるように、蕎麦打ちの行程で一番大切な作業は最初に行う「 木鉢」という行程です。木鉢とは蕎麦粉と水を混ぜ合わせ馴染ませる技術なのです。数滴といった微妙な水加減が蕎麦の良し悪しを決め、その日その日、その時その時の湿度とも大いに関係があるそうで、一生かかって修得する技だということです。

 その蕎麦にポリフェノールの一種であるルチンが含まれています。ルチンには、毛細血管を強く丈夫にする作用があります。また、弾力がなくなり、破れやすくなった血管を修復して血液の流れをスムーズにする作用や、血圧降下作用などもあります。このためルチンには「脳卒中」「高血圧」「動脈硬化」「コレステロールの抑制」など生活習慣病の予防に効果があります。さらには、血行が良くなるので冷え性や肩こりにも効果があるといわれています。

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その他には、ビタミンCの吸収を促進するため、抗酸化作用もあり、肌の老化予防もあるようです。そのため免疫力が向上するとも言われています。オリーブオイルのオレイン酸は優れた抗酸化能力があります。蕎麦とオリーブオイルの組み合わせは理にかなっているんですよ。つまり、食べるのもサイエンス、料理するのもサイエンスなんですね。

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2020年5月

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