博士の野外活動記
あこがれの図書館 -国際子ども図書館・国立国会図書館の巻-
(2006年1月17・19日火・木曜日)
本好き?図書館好き?にとって、一度は訪れてみたい図書館といえば、東京都千代田区永田町にある国立国会図書館、
児童書が好きな人にとっては、台東区上野にある国際子ども図書館がある。
広島からはなかなか行くことができないということもあり、あこがれはますばかり。
その図書館にいよいよ行くことができる。期待感で道中の新幹線もあっという間、いよいよ東京に降り立った。
その1 国際子ども図書館の巻
東京初日の17日は国際子ども図書館。上野恩賜公園の美術館・博物館の素敵な建物を横目に、テクテク歩くこと10分。
近代的なガラス張りのエントランスが見え、その先には洋風の建物があった。
国際子ども図書館は、明治39年に創建され、昭和4年に増築されたルネサンス様式の体表的な明治期洋風建築物だ。
もともと帝国図書館として創建され、さまざまな歴史を経て、2000年に国立初の児童書専門図書館として開館した。
建物は情緒的であるが、大規模地震に備え、免震工法を採用した改修が行われている最新の建物だ。
3階建ての建物の中は、天井が高く明治の雰囲気が漂う内装、おしゃれな階段で別の空間に来たような気にさせる。
1階は、“子どものへや”と“世界を知るへや”などがあり、子どもを対象とした閲覧室である。
子どもたちの声が聞こえ、活気があった。
続いて2階は、資料室が2部屋と研修室が1部屋あった。資料室は、18歳以上の利用登録を行った人を対象にしている開架式の
部屋で日本とアジア、外国で刊行された児童書の一部や関連資料がある。部屋には、大きなかばんは持ち込めないため、
必要なもの以外は、ロッカーにいれて入室する。木で出来た書架にたくさんの本が並んでいる姿に感動しつつ、
周りを観察すると、本と静かに向き合っている人がいた。資料室は、静かに本と向き合える空気に満ちていた。
最後に、3階へと向かう。この階には、ワークルーム、メディアふれあいコーナー、ホール、本のミュージアムがある。
ホールには、子ども向けに低い机と椅子があり、パソコンが置いてあった。
パソコンでは、「絵本ギャラリー」という国際子ども図書館作成のものを見ることができる。
見たい絵本を選び、1枚ずつめくっていきながら、外国語で内容が流れるもので、とても楽しいソフトだった。
児童文学を志す人には、一度は訪ねてほしい図書館だ。
その2 国立国会図書館の巻
18日、いよいよ国立国会図書館。地下鉄を降り、国会議事堂の横をとおり、国会図書館へ。
その日は、研修会だったため職員用の入口から中に入る。入口には、受付があり警備の方が立っていた。
研修会名と名前を告げ、入館証(名札)をつけて入る。そのまま研修会が行われる部屋へと入った。
建物の中は、広くどこから来たのかわからなくなりそうだった。
ここで国立国会図書館について紹介しておこう。
機能としては、国会に対するサービス、行政・司法に対するサービス、一般公衆に対するサービス、資料の収集・保存、
目録・書誌・索引の提供などさまざまな役割をもっている。
建物は、本館が地上6階、新館が地上4階、それに加えて地下7階まである大きな建物だ。
本館、新館ともに入口は2階にあり、初めて利用する人は、新館2階で手続きをする。
常に利用が許可をされている部屋は、本館の2階と新館(1階の一部を除く)でそれ以外の資料室は事前に許可が必要に
なっている。
大部分の資料は閉架式となっているため、利用者はNDL-OPACで資料を検索し、請求をして出してもらう。
受付カウンター前は、資料請求から資料が手元に届くまでの現在の待ち時間や受付番号?が電工掲示板にでていて、
利用者はそれを見ながら順番が来るまで、椅子に座って待っている。普段利用する図書館とは、感じが違う。
カジュアルな格好の人、議員秘書?というようなスーツの人、とにかくたくさんの人が利用していた。
国立図書館へは、研修で行ったため、普段見ることは出来ない貴重資料の保管室の特別本書庫(Bランク書庫)と
普通本書庫(Cランク本書庫)、修復の現場を見ることが出来た。
まずは、修復の現場から紹介しよう。研修室を出て、エレベータで地下へ。
地下へは個人が勝手に降りられないようになっていた。
和装本の修復室は、和室で部屋が明るく、木の机があった。主な修理方法としては、手で直す方法とリースキャスティングが
あるが、国会図書館では、時間はかかるが資料に一番良い手作業で1冊ずつ和装資料の補修をされていた
。修復に必要なわのりや道具を手作りで作成し、資料を一番良い形で保存していくという姿勢のもとに地道に作業を行う。
修復のプロという感じだった。
さらに地下に降りた。まず、普通本書庫(Cランク本書庫)を見学することになった。普通本書庫は、帙入りの本を書架に
立てて排架していた。一見普通なように感じるかもしれないが、書架は檻の向こう、こちらと本の間には鉄の格子の隔たりが
ある。さすがに普通本といわれているが貴重な資料だとおもいつつ、特別本書庫(Bランク書庫)に移動した。
この中は、特殊なコレクションや洋書の純貴重書があり、床、天井、壁は通常書架と同じ、書架はスチール製の固定書架、
一部手動の集密書架になっており、棚板の上には防虫ベニヤが敷いてあった。壁と機密扉で通路を仕切り、気圧を高めて、
扉を開けても通路側からほこりが入らないようにしてある。中に入るときは、書庫専用のスリッパに履き替え、
必要なところ以外は、資料保存のため電気をつけない。資料が整然と並んだ書架だった。
貴重書庫(Aランク書庫)は、職員でもごく一部の人しか入ることが出来ない部屋だ。
部屋の写真を見せてもらい、説明を聞いた。床、天井、壁は檜の合板、書棚は、楢の合板製、
ブックトラックも木のトラックが使用されているということだった。
書架が地下にあるのは、外気の影響を受けないためである。資料保存を考えて徹底している。
国立国会図書館を維持するために、司書をはじめ、修復担当者、受付、警備、掃除の方、食堂の方などたくさんの人がいる。
それぞれの人が、自分の仕事に誇りを持ち、任務を遂行する。いろいろなプロの集まりだと見学をして感じた。
満18歳になったら、ぜひ一度 国立国会図書館に行ってみよう。独特の雰囲気がある図書館だ。
今度は、純粋に一利用者として、図書館を訪れてみたい。
図書館事務室 石井